来月の横浜市長選挙では、IR誘致の是非が大きな争点になる。現職の林市長はIR推進である。彼女は前回選挙の時にはIRに関する考えを明確には示さず、当選後任期途中で誘致へと舵を切った政治家としては信用のおけない人物と言える。今回の選挙では、何人かの対立候補が名乗りを上げているが、ある程度知名度のある候補者は軒並みIR誘致反対である。
IRとは、統合型リゾートのことを指すが、事実上カジノ中心のリゾートあるいはカジノそのものを意味する。カジノはギャンブルそのものであり、広い意味では競馬や競輪あるいはパチンコと同類であろう。当初は、訪日外国人観光客を主な顧客層に想定しているとされ、彼らの落とすお金が地域に多大な経済効果をもたらすと説明された。しかし、その後、少なくとも勝ち金の課税においては、外国人からは徴収しない方向となっている。
既存の公営ギャンブルやパチンコなどでは、ギャンブル依存症になった人々がいることがマイナスの側面として知られている。ギャンブルのために借金を作り家庭が崩壊したり、遊ぶ金欲しさに犯罪に手を染める者達までいる。親がパチンコに夢中になるあまり、幼い子供を炎天下の車中に放置するケースもあり、毎年何人かの子供達が犠牲になっている。ギャンブル依存症は、大きな社会問題の一つであり、カジノを誘致すればその都市にどんな問題が生じるかは自明の理といえよう。
ギャンブル依存症よりは有害度が低いと思われがちであるが、広がりという点ではそれを上回るものがある。スマホ依存症である。こちらは、直接的に借金や家庭崩壊の原因となることは少ないかも知れないが、場合によっては生命まで失われることもある問題である。
最近でも、踏切の内側で立ち止まりスマホを見ていた女性が電車の接近に気づかず、はねられて死亡する事故が起きている。車を運転しながらポケモンGOのゲームで遊び、死亡事故を起こしたケースもあった。
ギャンブル依存症とスマホ依存症とは、それぞれ依存の対象が異なるが、弊害としては共通点がいくつもある。先に挙げた事例など、事故につながるケースも起きているが、それだけではない。最大公約数的な共通の弊害としては、人生の貴重な時間や労力、お金などが失われることであろう。自制心を働かせて適度な息抜きとして楽しむのであれば、他人がいちいち目くじらを立てる必要は無いかも知れない。しかし、往々にして、ギャンブルやスマホを使ったゲームやSNSなどでは、自制心が効かないことがある。
依存症あるいは中毒と呼んでも良いが、そうなる人々が一定数いると分かっていながらそれらを提供することは、神の視点では不法に該当する。そこには、顧客やその家族らに対する愛は無い。彼らは、いつまで不法を行うことができるのであろうか?
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