そのような状況がある中、気になるニュースがある。EU委員会委員長のウルズラ・フォン・デア・ライエン氏が、ニュルンベルク綱領(Nuremberg Code)の廃止を唱えたと言う。ドイツ人である彼女は、2005年に第1次メルメル内閣で家族・高齢者・婦人・青少年担当相に就任以来、労働・社会相、国防相を歴任し、2019年12月より第13代EU委員会委員長に在任している。政治家になる前は、医師としてのキャリアを歩んで来た。メルケル前ドイツ首相と同じ、キリスト教民主同盟(CDU)に所属している。ちなみに、CDUは、キリスト教の理念を基本綱領の中核に置いているが、キリスト教徒のみで構成される政党ではなく、日本における創価学会と公明党の関係などとはイメージが大きく異なる。
ところが、AP通信(AP News)の2021年12月7日付オンライン記事によれば、ライアン氏がニュルンベルク綱領の廃止に言及したのは、彼女の発言を曲解した人々が流した誤報だと言う。実際の彼女の発言を調べてみたところ、BBCオンライン版2021年12月1日付記事に、次のように伝えられていた。ライアン氏は、新型コロナ・ウイルスとそのオミクロン株の流行に立ち向かうために、EU諸国は、ワクチン接種義務化を検討すべきであると述べた。BBCが報道した発言のみであれば、ニュルンベルク綱領の廃止を直接的には言及してはいない。しかしながら、新型コロナ・ワクチンは治験中のワクチンであり、各国政府が緊急的に使用を許可する形式で、接種が進められているものである。
そもそもニュルンベルク綱領とは、何であろうか。これは、第2次世界大戦でドイツが降伏した後、連合国によって、ドイツ側戦争犯罪者を裁くために開設された、国際軍事裁判、いわゆるニュルンベルク国際軍事裁判において、戦時下のナチスによる人体実験などの医療犯罪を裁いた結果、制定された倫理原則である。ニュルンベルク国際軍事裁判では、医療犯罪は第1法廷第1事件として審理され、被告人は23名、うち20名が医師であった。1947年8月20日に判決が言い渡され、死刑7名(うち医師4名)、終身刑5名などの厳しい判決が下された。この裁判後に制定されたのがニュルンベルク綱領であり、10項目から成っている規定である。その第1番目は、「被験者の自発的同意は絶対に不可欠である。」という規定である。なお、この綱領に違反した場合には、「人道に対する罪」などと同じ、戦争犯罪に問われることになり、最高刑は死刑となる。
AP通信は、新型コロナ・ワクチンの接種義務化は、人体実験とはカテゴリーが異なるとして、ニュルンベルク綱領廃止はフェイク・ニュースだと言う。各国政府が、新型コロナ・ワクチンを正式承認すれば治験期間は終了となるが、そうなれば義務化=強制接種しても許されると言う考え方はおかしいと思う。いや、異常と言っても過言では無いだろう。政府であれ、医師であれ、人が明確に拒否しているのであれば、いかなる薬物を投与することも許されないと思う。これは、例えば精神医療などの分野でも同様である。新型コロナ・ワクチンの場合、安全性や有効性が十分に検証されているとは言えず、製造しているファイザーなどの製薬会社は、成分さえも全てはオープンにしていない。このようなワクチンを接種義務化すれば、言い方は何であれ、ニュルンベルク綱領違反であり、それを有名無実化=実質的廃止するのに等しいと思う。ファイザーCEO アルバート・ボーラ氏とも親しいとされるライエン氏が、ワクチン接種義務化を望んでいることを公言したことは、彼女の思考の根底には、ナチスと同様の発想があることを認めたに等しい。
アメリカでは、連邦政府による民間企業従業員に対する接種義務化について、一部の連邦巡回裁判所(高裁)で違憲判決が出されるなど、全国的な接種強制の試みは根強い抵抗で進んでいない。連邦議会では、ワクチン導入の政府側の司令塔であるファウチ博士を糾弾する動きも出ている。ファウチ氏がそうであるように、どこの国の誰であっても、新型コロナ・ワクチン接種を推進している者たちは、いずれ、ニュルンベルク綱領違反の犯罪者として、人道に対する罪等で裁かれる可能性が高い。もし、そうはならず、逆に、アメリカを含めた多くの国々で、全住民に対するワクチン接種強制に至るならば、いよいよ世の終わりの時が来たと判断すべきかも知れない。ヨハネの黙示録に預言されている、7年間の患難時代に突入すると言うことである。目を覚ましていなければ、気がついたら患難時代に入っていたと言うこともあり得る。世界は今、大きな分岐点にある。私たちは、それぞれが持つ信仰や自由を堅く守らなければならない。
「ただ、わたしが来る時まで、自分の持っているものを堅く保っていなさい」(ヨハネの黙示録 2:25 口語訳)