TRANSLATE

GlobalNavi

AD | all

核戦争の危機は当面回避(記事No.92)

 2022年2月22日、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ東部のロシア系住民が多数を占める地域にある、「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を独立国家として承認する大統領令に署名した。同時に、ロシア軍を両国(地域)に派遣するよう、国防省に命じた。両地域には、既にロシア軍が進駐を開始したとも言われており、ウクライナ中央政府やネオナチ勢力による暴力的迫害から、ロシア系住民を守る動きに出ている。これに対して、米欧も対ロ制裁措置を発動する構えで、イギリスはロシアの5つの銀行と3人の個人に対する資産凍結を、ドイツはロシアからの天然ガスパイプライの運用停止を発表した。

 本ブログでも書いてきたように、欧米諸国を中心に巣食うグローバリストらは、ウクライナに危機を創出して、米ロの核戦争にまで持ち込もうとしていたと考えられる。しかし、イギリスとドイツによる第一弾の経済制裁が、あまりにもショボい内容であったり、自分の首を絞める結果が見えているところからも、ヨーロッパ諸国の腰の引けた対応がありありである。今後は、アメリカを中核とするNATOが、正規軍のウクライナ配備に踏み切るかが焦点であるが、現時点でほとんど行動を起こしていないところを見ると、ひとまずは今回も口先介入に終わる可能性が高い。米ロ直接軍事衝突の可能性が低くなったのは、世界の民衆にとっては朗報であるが、戦争を欲する者たちが、このまま引き下がるとは到底思えない。

 これまでのところは、NATOによる軍事介入の口実を与え得る、ウクライナへの全面侵攻を回避し、ロシア人住民が多数を占める東部国境地帯への軍進駐に留めた、プーチン大統領の戦略の方が上手であろう。そうなると、グローバリスト勢力の次の一手は、ウクライナでロシア軍の仕業に見せかけた大規模な偽攻撃を起こし、NATOの軍事行動を引き出そうとすることか。あるいは、ロシア国内で核テロ事件を起こすということも考えられる。どちらにせよ、今後、いわゆる偽旗事件が起こされる可能性が高い。当面は核戦争の危機は回避されたが、戦争が起きないよう(起こされないよう)、引き続き祈る必要があるだろう。

 米欧諸国や日本の報道では、プーチン大統領は悪の権化のように扱われることも多い。その場合、ロシアは、好戦的な覇権国家として位置付けられる。プーチン氏が独裁者であることは間違いないが、彼が周辺諸国を侵略しようと、虎視眈々と機会を窺っているということは事実と反する。歴史上、特にソ連時代においては、膨張主義が顕著であった。しかし、ソ連崩壊後のロシアは、領土的な野心と言うよりも、自国の安全保障のために、周辺諸国を米欧などとの緩衝地帯にしておくという戦略であろう。この点が、中国とは決定的に異なる。同じ独裁者であっても、プーチン氏は自国防衛のために軍事力を行使することを考えるが、習近平氏は領土的野心のために軍事力を強化している。どちらが世界の平和にとって脅威であるかは明らかであるが、米欧としては、経済的な相互依存の関係が深い中国とは、今は本格的に事を構えたくないのが本音ではないか。

 さて、幸い当面核戦争が勃発する可能性は低くなったが、ウクライナが世界の火薬庫である事実には変わりがない。また、東アジアでは、中共が台湾に対する恫喝を続けており、武力併合という邪悪な欲望を隠そうともしていない。ウクライナ東部とは違い、台湾国民は中国への併合も、中国の衛星国となることも望んでいないにも関わらず。そして、中東地域では、イスラエルとアラブ諸国やイランとの複雑な対立構造がある。特に、イランは、聖書の終末預言によれば、世の終わりの時にロシアと連合して、イスラエルに侵攻するはずである。聖書は、平和とは創り出すものであると教える。戦争が誰かによって創り出されるものであるのと同じく、私たちは、平和をも創り出すことが出来る。その意味においても、私たちは取るに足らない者たちではなく、誰もが世界平和のために役に立つ力を秘めている。祈りと愛の行いが、そのための主要な武器である。

「平和をつくり出す人たちは、さいわいである、彼らは神の子と呼ばれるであろう」(マタイによる福音書 5:9 口語訳)