いったい、鈴木議員のブログ記事のどこがおかしいのか、一読するだけでは分かり難いかも知れない。キーワードは、「印象操作」であろう。この記事を取り上げたラジオ・パーソナリティにとって、ロシアが侵略者であり、悪であることは自明の理であって、所与の事実であると言うことだ。日本のみならず、欧米のマスコミの大半は、同様の観点に立って、ウクライナ紛争を報道していると考えられる。当然のことながら、それら諸国の政府も、侵略者ロシアを厳しく非難し、果敢に立ち向かうウクライナを支援するという姿勢である。日本のテレビや新聞、インターネット・メディアのほとんども、ロシアによるウクライナの一般市民に対する残虐行為の数々が、連日これでもかと言うほど報道されている。今回の鈴木議員のブログ記事は、そのような一方向に集中する報道や情報の流れに対して、一石を投じたものとも言えるであろう。
最近、ロシア軍の蛮行として報道された中で、特に注目されたのは、首都キエフの北西約24キロにある町、ブチャでの犠牲者400人以上の住民虐殺とされる事案であろう。4月4日に、ニューヨーク・タイムズ紙が、アメリカ・マクサー社の衛星写真を入手したとして報道し、BBCも、これが3月19日撮影の写真であると確認したと報じた。ロシア軍は、2月24日のウクライナ侵攻開始後間もなくブチャを制圧し、その後3月30日に同地を撤収するまで支配していた。もし、その衛星写真が3月19日に撮影されたものであり、そこに写っていた遺体の数々がロシア軍撤収後に発見されたものと同じであれば、虐殺はロシア軍の凶行となる。ところが、報道されたその衛星写真を見た専門家らが解析したところ、影の位置などから、当該写真は、4月1日のグリニッジ標準時11時57分に撮影されたものであることが判明した。もし本当にロシア軍の仕業であるなら、衛星写真の撮影日を、ロシア占領下の日と偽る必要は全く無い。ウクライナ側の案内で現地を取材したロイター通信は、ロシア軍の虐殺を証言する現地住民や行政当局者らの話を伝えているが、その記事は、「死亡した住民を誰が殺害したのか、独自に確認することは出来なかった。」との注釈付きで報道された。SNSなどでは、各地で住民を攻撃しているのは、ウクライナ軍や(ネオナチの)アゾフ連隊であるとの避難民の証言も多く出ているが、何故か、そのような記事は次々と削除されている。
日本を含む西側メディアでは、これまでほとんど報道されず、各国政府も問題視して来なかったが、ウクライナにおける住民虐殺を行って来たのは、アゾフ連隊(以前は大隊)などのネオナチ勢力と、彼らの影響下に置かれたウクライナ軍である。特に、東部のドネツク州やルガンスク州など、ロシア系住民が多数を占める地域では、2014年から今年2月のロシア軍侵攻までの約8年間に、14,000人ともされる一般住民が虐殺されて来た。ウクライナ政府とネオナチ武装勢力による、このような蛮行に対して、国際社会は厳しい非難と制裁を行うことなく黙殺し続け、ロシアによる軍事侵攻への道筋を作って来たのである。もとより、他国へ軍事侵攻することは許されることでは無いが、このような事態に至った原因について言えば、ロシアの側に道理があると思う。
さて、これまで書いたような、米欧諸国などの政府や報道機関によるロシア非難であるが、事実と嘘をない混ぜにして、いかにも真実であるかのような情報を流す手法自体は、今に始まったことではない。近代史上最も知られている前例としては、ナチス・ドイツの宣伝手法が挙げられるであろう。ナチス政権の宣伝大臣であった、ゲッペルスが語ったとされる、「嘘も100回繰り返せば真実となる。」という言葉がある。この手法は、第2次世界大戦後も、ソ連や中国のような全体主義国家のみならず、自由主義国とされている国々でも用いられて来た。今回、ウクライナと米欧諸国の政府が、報道機関なども巻き込んで、ロシア軍による戦争犯罪行為の数々について情報発信しているが、これらも同じ手法と言えるだろう。さすが、ネオナチに支配されたウクライナ政府と、ナチスの思想や人脈を密かに受け継いだアメリカ政府(正確には、政府内部のグローバリスト集団)の合作(もちろん、首謀者はアメリカ側)ではある。
「偽りの証人は罰を免れない、偽りをいう者は滅びる」(箴言 19:9 口語訳)
歴史を顧みると、偽りの思想や歴史観の上に築かれた国家や体制は、いかに強大な国力や覇権を誇ってはいても、結局は例外無く崩壊している。近くは、ソ連、大日本帝国、ナチス・ドイツなどがそうであった。今は権勢を誇る中国共産党支配体制も、いずれ崩壊する日が来るだろう。今般のウクライナ紛争において、世界に嘘を撒き散らしている、アメリカやヨーロッパ諸国、それに追従国日本はどうなるだろうか?ロシアには、日本に対しても牽制する動きが見られるが、その中には、左派政党とされる、「公正ロシア」のミロノフ党首による、「ロシアは北海道に全ての権利を有している」という発言もあった。今のところは、一政治家による単なる恫喝発言であろうが、そのような暴言を引き出してしまったのには、日本のロシアに対する一方的な圧力にも原因がある。日本も独立国家である以上、自国を侵略しようとする者には、断固たる態度をとる必要はある。しかしながら、国際協調の美名のもと、自ら隣国との緊張を高める行動をとるのは、いささか知恵に欠けているとは言えないか。せめて私たちは、政府や報道機関の言うことを無批判に受け入れるのではなく、自ら吟味し考える習性を身につけておくことが、今の時代には大切であろう。
「あなたがたのなすべき事はこれである。あなたがたは互に真実を語り、またあなたがたの門で、真実と平和のさばきとを、行わなければならない」(ゼカリヤ書 8:16 口語訳)